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重源のように

ひとりひとりが重源(ちょうげん)のように

「『木造都市』を夢見ている。おそらく住居も塔も橋も、全てが木で造られていた都市がかつては世界のどこかに存在していたであろう。そこは手で触れることのできるほどのぬくもりが市井の隅々に宿り、雨の後ともなれば、馥郁(ふくいく)たる芳香が街中に満ちたに違いない。そこでは大人達が、まるで繭を慈しむように育てた森林から頑健(がんけん)成木(なりき)を伐り出し、挽(ひ)きかつ刻んで堂塔伽藍(どうとうがらん)建立(こんりゅう)し、子供達はその力業と手慣れの巧に、歴史が汗によって培われていることを学んだに違いない。その都市は、四季の息づかいに呼吸を合わせてしなやかに風雪に耐え、千年の時を、まるで年輪の如く連綿と自らに重ね刻み続けていたに違いない。がしかし、私は今、そのような都市のことを想起しようとしているのではない。夏の夜のうたかたの夢の如く失われてしまった、そのような都市を懐かしもうとしているのではない。れっきとした現代都市としての『木造都市』を想い描こうとしているのである。」
木造都市の設計技術・「私の木造都市」高松伸(コロナ社2003年刊)より引用


そう、かつて私はこのように夢みていました。がしかし、今はそうではありません。前文の結びの言葉むならば、私は今、れっきとした現代都市としての「木造都市」を実現することが可能であると考えています。木を愛し、木の限りない可能性を信じる人々が集い、ともに木の空間と木の都市に思いを馳せつつ研鑽を極め、弛みなく営為を積み重ねるならば、近い将来必ずや可能であると考えています。従って「木愛の会」は、単なる研究会でも交歓会でもありません。ひとりひとりが、自ら想像力と構想力、そしてなりよりも自らの手によって木の都市を造営するための集い、それが「木愛の会」なのです。
かつて木の建築を極めたひとりの僧が存在しました。時に類稀(たぐいまれ)なる策を弄し、時に虎の如く雌伏(しふく)し、時に自らの身を敢然(かんぜん)と捨てて、あの稀代(きたい)の大木造建築「東大寺大仏殿」を造営したあの重源です。天平期(てんぴょうき)の都市風景をその建築の姿形が決定づけることになったのは今さら言うまでもありません。
「木愛の会」を立ち上げるにあたり、私は今、ひとりでも多くの重源の参集を望んでいます。

木愛の会 会長  高松 伸



 

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